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薬ではなく地域での人のつながりを処方する"社会的処方"は、自分の心が躍る現場を知ることから。アイディア集めと実践覚書!#SocialPrescribingWeek

こんにちは!ほっちのロッヂ、言い出しっぺ(共同代表)の藤岡です。まさにタイトル通り、今日2022年3月10日(木)は、国際社会的処方日、と設定されている(そうなんです)ですって。なんだか漢字が並んで「??」となるかもしれませんね。

薬ではなく地域での人のつながりを処方する"社会的処方"はイギリスで始まり日本を含め世界25ヶ国以上で実践され続けています。
実は私藤岡、この社会的処方を日本に少しずつ広めている本、『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法 (学芸出版社)』にも事例を寄せて共著者として参加させてもらっています。(編著の西さん、Special thanks!)

ケアに関わる人が町を知らないと伝えられない

さて、私自身はケアに関する資格を何も持っていないので、そもそも処方する行為は全くタッチしません。
なので薬やら症状やらではなくて、ケアに関わる人が、どうやって町(いわゆる地域)を知り、楽しんでいこうか?という環境をずっと考えてきました。その結果がほっちのロッヂ、と言っても過言ではないのかもしれません。

もちろん、「ふむ、社会的処方とはこうあるべき...」なんて難しく考えず、「私自身の心が躍る現場はどこだろう?」と出会っていくことが基本です。実に色々な現場を見聞きしてきましたが、特に思い出に残っている英国の3つの現場を少しだけ。(個人のnoteへリンクします)

積極的沈黙”の時間が訪れる奇跡の時間。英国ヘイスティングスでの実践  では、ロンドンから約2時間。ヘイスティングス(Hastings)。1066年建立(!)ヘイスティングズ城や修道院が残る、景観美しい港町で、高齢者施設やホール、アートギャラリーを舞台として、認知症をもつ高齢者やその家族を対象に、デッサンを用いるアプローチをしている団体【drawing life】があります。この現場を特別に見学させてもらいました。(共著内で紹介しています✍️)

arts4dementia というNPOのワークショップがロイヤルオペラハウスのスタジオで行なわれていたので、こちらでも一緒に踊りながら見聞きした”気付いたら混ざっていた”、老いも若きも、ダンス!ダンス!ダンス! 

英国は、がん患者や家族、医療者などがんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用することができる、「マギーズ」発祥の地です。やはりこの場所は訪ねておきたい...と、Maggie's West London を訪ねました。

現場づくり、その方法、そしてその現場を持続的にしていく仕組みなど学ことはたくさん。そして自分の中でずっとあるのは、ケアに関わる人が町を知らないと伝えられないよね、ということです。これがないと本末転倒。

好きなことで町の人と出会う

知らなければ伝えられない(処方できない)わけなので、この社会的処方というアプローチってよくよく考えたら、医療や介護の現場にいる人たちにとってチャレンジングなんでは?と私の立場から思ったりするのですよね。

そんなわけで、ほっちのロッヂは成り立ちそのものが町の人の起点として「発地にある森小屋」を、働き手主体で目指し続けています。

働き手や関係が近い方達がテーマを選び、その作品と時間、感想を共有する 《考える映画館》、ほっちのロッヂの映画部。 もう1年以上続き、ほっちのロッヂは映画館だと認識してる方もいるとか?!映画を観に来る。語らう。普段とは違う意識、言葉に出会う、それを持ち帰る瞬間の重なりが、嬉しい嬉しい。

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ほっちのロッヂのトビラ では、ほっちのロッヂの働き手が自ら主催することから、関係する企画まで、トビラでおもしろ可愛くポスターサイズでアナウンス。多くの方がめくっていくので、トビラ全開の企画もあります。これも全て、デザインから中央のポエム(!)まで、働き手のアイディアがたっぷり詰まっています。

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「窓の外美術館」では、歩いていける範囲を豊かにしようと、実はすごい歴史やロマンチックな人生物語を隠し持っているまちの人たちの生き方を伝えるべく、7ヶ所を回る回遊型の美術館をつくってしまいました。

今はまだまだ効果を測りながらにはなりますが、交換留藝 (自分自身の表現を持ってくる・見てもらう、という関係性ではなく、生きると生きるを終える狭間の場所である「ほっちのロッヂ」の活動を通し、また、はたらく中でつくっていく表現活動の総称。英語表記:Artst in clinic)では、ケアの現場の働き手たちの普段の活動を元に、表現活動へと昇華させているこの一連の取り組みには、町の多くの方が関心を寄せてくださり、その経過や表現現場にたくさんの方が足を運んでくださっています。
そこで出会う人たち、そこから繋がっていく総量の多さが私たちの宝物でもあります。

人と人が出会うことって、真ん中に何かがあるはずなんです。それは医療としての出会いもあれば、「好きなこと」の出会いもある。そこには資格や経験じゃない、人として出会う、という光景がある。

その光景を自分たちでつくることもありますし、過程で出会った人と人を結果としてつないでいくこと、その連続です。
ケアに関わる私たちの考え、姿勢を相手に伝えることも、コミュニケーションとしてとても大事だなと思います。

私たちの現場はとっても地味ではありますけれど、町に住まう、力強く生き、そして生きるを終える、人の営みが豊かになるきっかけとして在りたい。そう、発地にある森小屋として。

そのプロセスを”社会的処方”と表現するときもそうでないときも、じっくり歩みます。

これからもぜひお付き合いください。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。ピンとくるご友人に直接話をしてくださったり、このnote記事に「スキ」、ツイッターなどSNSでシェアしてくださると、嬉しいです。


ほっちのロッヂ
info@hotch-l.com
書き手と文責:藤岡聡子