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【ケアのこと、5】「お医者さんに自分のからだじまんをする。」ポジティヴヘルスを土台にした内科検診の始まり(3歳から8歳)

私たちほっちのロッヂメンバは、オランダ・Dr ヒューバー氏によって提唱されている「ポジティヴヘルス = ”健康な状態”とは、数値や他者によって判断されるものではなく、自ら決めるもの」を軽井沢町で出会う人に向けて実践しているチームでもあります。(詳細は紅谷のnoteをどうぞ)

(メンバのうち、紅谷(医師)・吉田(保育士)・井上(看護師)、藤岡は、伝道者研修「PositiveNIPPONプロジェクト」日本・オランダでの研修を経た修了者でもあります。)

2019年11月、軽井沢風越学園「かぜあそび」にてこのポジティヴヘルスの考え方を用いて行った内科検診の様子はこちらのnoteからどうぞ!

内科検診の舞台は、ほっちのロッヂのお向かい、学校法人軽井沢風越学園。3歳から8歳までの5つのグループ(以下ホーム)からスタート。こどもたちはそれぞれ身体測定(1日目)と検診(2日目)を日を分けて自分のからだに向き合っています。

まずはいつもの朝の集いでほっちのロッヂのメンバーと出会います。「知ってる!行ったことある!この人たち知ってる!」とたっぷり自慢してくれるお子さんもたくさんおり、こどもたちは自然に輪の中に私たちを招き入れてくれます。この時は互いの名前を知るのみ、「遊びに来たの?」「そうそう」なんてお話をしながら過ごします。

そんな中で学園の養護教諭をしているスタッフから絵本『おおきくなるって いうことは(作: 中川 ひろたか 絵: 村上 康成(童心社)』の読み聞かせが始まります。
読み終えたあと、「今日はみんなが大きくなったかどうか、一緒にみてくれる仲間が来ています。」と、ここでこどもたちにほっちのロッヂのお話しをします。

「どの人がお医者さん?」「あなたは看護師さんでしょ!」「病院なのに保育士さんもいるの?なんで?」

いろんな質問が、ここでもたっぷり。

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それから、身体計測ってなんだろう?と話をしながら手形をとるプロセスへ移っていきます。

目に見えてわかる変化、遊びの感覚を大切にしながら、
・数字じゃない変化、数字じゃない自分のからだを自分・他者が感じ取れたら
・家に帰って自分の身体の話をするきっかけになれたら、
という気持ちを込めています。 

「ひんやりする!」
「くすぐったーい」
「〇〇くんの手大きい!」
「僕は足の方が好きだから足形にする!」

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思い思いにこの手形・足形を取り、手足を洗ったあとは満足した子から身長、体重測定。

「裸足はいやだから靴下でもいい?」
「虫かごと一緒なら計る」
「測るの、1番最後がいい」
「身長のびたー!」

それぞれ思い思いの計測をして、身体測定(1日目)の活動はおしまい。身体測定を通して、大きくなったことを、おめでとうという、おめでたい日になれるように願いを込めて。

検診(2日目)になると、ほっちのロッヂのメンバの顔を見るなり「今日は何する?」と聞いてくれるお子さんも増えてきます。

検診(2日目)では、絵本『みんなのからだ(作: ミック・マニング ブリタ・グランストローム 絵: ミック・マニング ブリタ・グランストローム
訳: 百々佑利子(岩波書店)』の読み聞かせがあった後、身体測定(1日目)の時にとった手形の紙の裏に、絵本のようにそれぞれ違う自分のからだの好きなところをかこう、ということから始まります。


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「足のうら!あとは、おしりから出る💩、それから・・・」
「全部好き!それってつまり地球が好きなんだよ。」
「のうみそ。へへへ。」
「左足。だって走るの好きなんだ。」
「女の子をかいた。私ラプンツェルみたいに髪の毛伸ばすんだ」
「好きなところ、わかんない」

すぐに描き始める子もいれば、もちろんじっくり悩んだり描き始めることが難しい子もいます。

そんな時は「好きなこと」「大切、大事なもの」から話を広げてゆきます。それらを話しているうちにこどもたちは生き生きし始め、気がついたら自慢の絵の完成!

さあ、手形の紙を”チケット”に見立てて、べにさん(紅谷)に会いに行こう!と力強く動き出します。

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べにさん(紅谷)は、絵本にぐるりと囲まれた”かまくら”で、子どもたちを待ちます。”かまくら”へ行くには階段があるので、階段にそれぞれ座りながら、途中で絵本を読みつつ、順番を待ちます。

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「じぶんのしんぞうの音、きかせてもらった。人の歩いてる音みたい」
「自分の足の話、できた!ニヤニヤ」
「ねぇ、ぼくの番まだ?はやくべにさんと話したいよ〜」

こうして1人1人の子どもたちとの対話を終えたほっちのロッヂ。8割以上の子どもに、自分で音聞いてみよう!と聴診器をつけてもらって自分の心臓の音を聞いてもらいました。

ある時は、子どもたちの活動の場所でもある、森の中でも内科検診をやってみました。

前期_森の病院1

前期_森の病院2


直前までどんな場所で、どんな風に検診を行うのか緊張もあったものの、無事に検診(2日目)も終えることができました。

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次は、9歳から13歳までのホームの身体測定(1日目)と検診(2日目)と移っていきます。


医療の専門職が、人の育つ現場 = 子どもたちをど真ん中に添える。ふとしたことで自分のからだの尊さを知るかもしれない。そして命の大切さを感じる瞬間が生まれるかもしれない。

そう信じて私たちほっちのロッヂは、世界で一番、福祉と教育が近い現場を創り続けます。

「「お医者さんに自分のからだじまんをする。」ポジティヴヘルスを土台にした内科検診の始まり」
じぶんのからだを自慢してくれた方々:3歳から5歳の方達
レポート者:ほっちのロッヂ 紅谷・吉田・井上・藤岡
文責:藤岡