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【ケアのこと、4】元気な保育園に来るお医者さんは、きみの良いところを一緒に見つけたい。それを伝えたい。

11月も下旬。軽井沢町にある幼児教育の現場にて、健康診断を行いました。何日も前から私たちメンバもとっても楽しみにしていた時間!
集合時間の朝8時に園に伺い、森の中にある園の空気を思いきり吸い込み、整えを始めました。

私たちほっちのロッヂメンバは、オランダ・Dr ヒューバー氏によって提唱されているポジティヴヘルス = ”健康な状態”とは、数値や他者によって判断されるものではなく、自ら決めるもの」を軽井沢町で出会う人に向けて実践しているチームでもあります。

(メンバのうち、紅谷(医師)・吉田(保育士)・藤岡は、伝道者研修「PositiveNIPPONプロジェクト」日本・オランダでの研修を経た修了者でもあります。)

いわゆる”健康診断”だと、測定や聴診を通して、身体の観察、確認する流れがあります。事前に保育者の方によって測定を済ませていただいたため、今回は幼児の皆さんと思いきり対話しながら、自分のからだの自慢話から始める時間にしよう!、と考えました。

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保育者の方々と共に、まずはストーリー作りから入っていきます。
身体が辛いからお医者さんを呼ぼう・・・、ではなく、ある登場人物、「のっぺらぼう」が、やりたいこと(旅行)があるからお医者さんと話をしたいんだ、という流れの中で、「は〜い!」、ほっちのロッヂの紅谷が呼ばれます。

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朝の会では、みんなと初対面。 お医者さんのカバン(風呂敷)には何が入っているでしょう?
「あの、音きくヤツ…うーん、ちょうしんき!」
当たり!他には?
「ちゅうしゃー」
残念!今日は病気じゃなくて元気なみんなを見に来たから注射はないよ。
「あれ?クレヨン?」
 そう。最初にみんなの、“自分の好きなところ”を教えて欲しくて、絵を描くクレヨンと紙を持ってきたよー
「えー!?」 って始まる、健診。
(紅谷)

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今日のテーマは 「自分の身体の好きなところ」
まず、自分の身体の好きなところを、考えて、絵に描いたり言葉にしたり。
病気になったときに出会うお医者さんは、きみの悪いところをみつけてくれる。
元気な保育園に来るお医者さんは、きみの良いところを一緒に見つけたい。それを伝えたい。
健診の最初に、子どもたちは自分の身体の好きなところをお医者さんに伝える。
(紅谷)

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「心臓が好き:みんなのことを守ってくれるから」
「手がいっぱいほしい:太鼓がたたけるから、100本」
「ねぇ〇〇くん、ほっぺが好きなんだって!僕も〇〇くんのほっぺ大好き!」

自ら感じている恥ずかしくて見られたくないところを伝えられる環境。「じぶんのからだのすきなところ」を伝えるという目的があったことによって、よくある健診の受け身スタイルとは違って子どもたち自身が自ら体の話をしようとする流れには保育者の方々にも好評いただく。

イキイキした姿、興味津々な様子、二枚三枚と描く子。次の健診もぜひこのようなスタイルでやりたい!と。

「私もっとベニさんと話したかった〜」
「次僕が行く!」「いや、僕が先に話しにいく!」
「わっ!笑ってる!楽しそう!」
「もう一回、行ってきてもいい??」

(吉田)

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こちらも「目?そうだよね、キリッと見てる目、僕も好きだな」
「足?!さっきすごく速く走ってたもんね、カッコいいよね」 と好きなところをシェア。
聴診器あてていい?「いいよ」なんて、診察が始まる。
どんなことしてるか気になるともだち。

健診が終わった後、二人組が戻ってきた。
「べにさん、教えて!骨は何でできてるの?」
「ぼくは、牛乳がかたまったものだとおもうの」
「ぼくは、血からできてるんじゃないかとおもう!」

興味が炸裂!想像が爆発!
大人も必死に応えます、答えます。必死です。
そうそう、子どもたちからは「べにさん」って呼ばれてます。

(紅谷)

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ふと沸いた疑問に丁寧に向き合ってくれる大人の存在。スープの冷めない距離、じゃないけど「次の疑問が浮かぶまでの距離」に尋ねられて向き合ってくれる人がいることの大切さ。
(吉田)

疑問が浮かぶと、こちらの打ち合わせの最中にもどんどん入り質問が始まります。正解よりも、考えるためのヒント。そんな往来がたくさんありました。話の中で、ついつい紅谷が「お医者さんにならない? ほっちのロッヂのあとつぎ探してるんだよ」って言ったら
うーん・・・・、ちょっと・・、と。だって、白い服ばっかり着てるのやだもん。かわいい服とか着たいから。と、さりげなく断られました。
いやいや、ほら、白衣着てないじゃん、とか必死な大人笑になってしまったという紅谷。なんとも子どもみたいに嬉しい表情、していましたよ。

ほっちのロッヂは、
弱さより強さにスポットを当てて
生活者として、人生を共に歩むスタンスで
医療福祉職の地域での立ち位置を必死で考えなおす。
医療法人オレンジ9年間の経験をベースに、子どもたちをど真ん中に据えた、地域医療を始めていきます。

(紅谷)

医療の専門職が、人の育つ現場= 子どもたちをど真ん中に添える。ふとしたことで自分のからだの尊さを知るかもしれない。そして命の大切さを感じる瞬間が生まれるかもしれない。

そう信じて私たちほっちのロッヂは、世界で一番、福祉と教育が近い現場を創り続けます。

「ほっちのロッヂの、健康診断」
自分のからだを自慢してくれた方々:2歳から5歳の方達
レポート者:ほっちのロッヂ 紅谷・吉田・藤岡