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【霧下織工房・革の子工房】時代と一緒に流れてついていけば、生きていけるだろうと思っている。#窓の外美術館 #拠点紹介

5月14日からささやかに始まっている「窓の外美術館」。ほっちのロッヂから歩いて行ける距離にあるカフェや農園、お寺にて、このまちに集まった表現と、そのつくり手のイキザマに出会えます。7月14日までの会期中、その出会いをつないでくれる展示拠点のにない手の、これまた素敵なイキザマをご紹介していきます。

軽井沢で約40年、織物・染物と革細工の工房を構えながら、絵本のようにファンタジックでのびやかな暮らしを送る不破さんご一家。織工房を担う和子さん・ののみさんにお話を伺いました。

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—— 和子さんのパートナー・越夫さんとの出会いは?

和子)昔、渋谷にいっぱいいた露天商の中で、彼は革製品を売っていて。私は織物を渋谷で習っていて、立ち寄ったのがきっかけ。兄からお土産でもらったイスラエルのかばんを持ってたら、越夫さんが「それイスラエルのじゃない?」って。

結婚してから、私も1年ちょっとイスラエルに行ったの。保育士だった私はキブツ(イスラエルの共同体)の独特な保育を観察したいということで行って、生け花の師範を持っているので生け花を教えていたりしたんだけど。保育でも生け花でも価値観が違って、どっちも日本に持って帰れないものだな、というのが分かって。機織りに専念しようと決めた(笑)。

越夫さんはイスラエルの靴屋さんで修行していた。東京に住んでいる時も、ゴミの回収場から靴を拾ってきて、分解して型紙作って…ってやってた人だから。
ののみ)ガッツのある人たちの時代ですよ。ヒッチハイクとか。今だってダイビングしてさ、好きなことなら、自分が行くっつったら行く!って。

―― イスラエルから帰って来てからは?

和子)東京で子どもを産んだ時はまだ織物は趣味でね。軽井沢に来ても織物をナリワイにしようなんて考えてなかったの。職安に行ったって、保育士ですら仕事がなかったし、どうしたもんかなと思ったときに、旧軽井沢に店を借りられるっていう話が来て。

お店では、赤んぼがいながら、道端に織機を出してずーっと織ってた。そうすると、観光に来たおじいさんおばあさんがすっごいファンになってくれて。世の中がバブルに向かう時代でした。

―― 今の場所にお店を移したきっかけは。

和子)旧軽井沢でお店を16年やってから今の場所にお店を移しました。移す前からこの工房をもう作り始めてたんですよ。お客さんみんなに協力してもらいながら作ってね。砂利買ったり、コンクリート打ったり、基礎の鉄筋を膝で曲げたりって、全部手作りで。駅から離れてしまったのでお客さんは変わったけど、今でも当時のお客さんから注文を頂くことがあります。

―― 工房では、体験ができるんですよね。

和子)今の場所に移って来てから、体験を始めて。私、自負しちゃうんだけど、体験を始めたのはウチが最初だと思うの。昭和55年に店を始めた時に、革細工のキーホルダーに(スタンプを)ポンポンなんて、他人がやった方が楽しいよ!ということで、その次の年には体験始めてたのね。

変わってきたことといえば、私は熱心に教えようとしちゃうのね。でも、今の若い人はあっさりを望んでる人もいるわけ。そうするともう、彼女(ののみさん)の出番。彼女はサラサラってやってくれる。ニーズにこたえて、自分のやり方に固守しないこと。時代と一緒に流れてついていけば、生きていけるだろうと思っている。

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※織工房の奥にある、染め工房。キレイに泡立ったダークブルーの染料が、いつでもスタンバイしています。

—— ののみさんはいつから織物を始められたんですか。

ののみ)2000年くらいかな。その前までロンドンにいたんですよ。高校で英語科を出て、調理師学校に行って。その後学校から紹介されたロンドンの日本料理屋で働いて、帰ってきたんです。
和子)帰ってきたときが秋だったんだよね。「ススキがキレイだね、私このススキが好き」ってののみが言ったの。その次に言ったのが、跡取りになるから家建て直してくれって(笑)。そういうことで建て直して、ここ3~4年くらいは、工房も彼女に任せています。

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※注文制で、藍染マスクを製作してくれる。藍色のさわやかな風合いが、これからの季節にぴったり。

―― これからの意気込みは。

和子)時代に逆らわないで、時代の流れについて行く。コロナならコロナにどっぷり浸かる。そういう風に思います。私の兄の言葉で、待つっていうことは次の準備をすることだって。準備のために与えられた時間だと思って、積極的に利用する。そういう風にしていきたいです。

《お店情報》
霧下織工房・革の子工房(軽井沢町発地1216-5)
電話:0267-48-3183
営業時間:10時~17時
定休日:夏季無休

《エミリーのオススメ・ポイント》
「イキザマを展示したいんです」と企画を持ち込んだら「ココが生き様そのものみたいなもんだからな」と工房を指さす越夫さん。そんな越夫さんを「魅力的な人でしょ?」と肩をすくめて語る和子さんと、クールにあしらうののみさん。この一家の魅力はこの記事だけでは伝えきれないので、とにかく足を運んで、声をかけてみて。一家の軽井沢ライフは、和子さんの筆によりブログにも綴られています

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ほっちのロッヂ
info@hotch-l.com
書き手:唐川エミリー
文責:藤岡