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クリエイティブ・カルテができるまで②:プレ公演と ❝オハカン❞ を経て、カルテ作成へ #交換留藝 #クリエイティブカルテ

2021年7月から9月まで、ほっちのロッヂの滞在制作企画「交換留藝」の一環で小林三悠(こばやし・みゆき)さんと共に歩んできた本企画。3回にわたる連載で、あらためてその背景とプロセスを振り返ります。

1、予定外の展開!内容を変えた2日間のプレ公演

7月9日 音響家の松尾謙さんを迎え、過去の作品を上演

❝ほっちのロッヂに来てから、皆が肩書きに関係なく、フラットに接してくれることに人間味を感じてる。あまりにフラットだから、観る人と観られる人が完全に分かれちゃう舞台って、(ロッヂに)あんまりそぐわないんじゃないかと思い始めてて。・・・それに、音が静か。こんなに良く眠れたのは初めてかも(みゆき)❞

7月1日の滞在開始から、新しい気づきや刺激に日々感覚が揺らぐみゆきさん。形式を変えて公演を行うことを考えるも、ほっちのロッヂメンバの「過去の作品も見てみたい」という声に後押しされ、予定通り過去作品を上演。23名が鑑賞。

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自然の音、人のざわめきが交錯する音の中、即興も交えたパフォーマンス。

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パフォーマンスが進むにつれてたそがれる夏の空、しんと張り詰める空気。

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終演後、エコーをかけた天井マイクで遊ぶ子どもたち。

7月10日 朝から寺とトンネル巡り、苦渋の中の ❝踊らない❞ 選択

きのう踊っている間、独りぼっちだった。自分の感じている音の存在感を場を共にする皆さんに体感してもらおうと、松尾さんと空間に作ってみたけれど、実際参加者の方々は、どんな風に音を体感されただろうか…(みゆき)❞

❝誰かに「見てるよ」って肩を持ってほしかった。きのう流したのは、京都で暮らしていた頃の音の集積で作られた曲。世界には、良くも悪くも自分を突き動かす音があって、私を踊らせる音は、不快で重く、あの頃は、こんなに自分を痛めつける音の周りで暮らしていたんだなー、その音に踊らされて来たんだなって(みゆき)❞

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❝こういうとこ、いいわ。ストーリーがすごいよ!Hear me!Dance me!って言ってる(みゆき)❞

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開演1時間前。これまで通りには踊れない、という気持ちを大事にして、踊らないという決断を下す。開演後、集まった30名の方と一緒に焚き火を囲み、これまでみゆきさんが集めてきた「心地の良い音」を聴く。

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❝自分でした決断だけど…なのに、なんだかんだ言って(踊りと)ずっと一緒にやって来たから、大切に生み、育ててきた赤子を自らの手で握り殺したみたいな気持ちがするよ(みゆき)❞

2、プレ公演への反応、今後のアプローチを考える❝オハカン❞

7月中旬 続々届く、感想のおハガキ

当日鑑賞してくださった皆様から、感想のおハガキが届く(本当にさまざまな率直なコメント、ありがとうございました!)

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7月末某日 みゆきさんのオハカン(*1)を開催

プレ公演への印象や、会ったら何を聞いてみたいかについて、ほっちのロッヂメンバでアイディアを出し合う。

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(*1) オレンジハッピーカンファレンス、通称「オハカン」。ほっちのロッヂ運営元の医療法人社団オレンジが行う、ケアを受ける人の暮らしぶり、身体の様子、これから大切にしていく軸などを話し合う会議のこと。その名の通り、シリアスな会議というよりは、「幸せに」ということが土台にあります。

❝「何を表現しているダンスなんだろう」って思って。みゆきさんは音を避けるように踊るって聞いてたから、(音を)どけているのかな?って思いつつ、それだけじゃなさそうだなぁ、みたいな。こう、上半身をね、例えるなら『進撃の巨人』みたいに腕をこうやって(腕を大きく動かして)動かしていたので、あの動きになんの意味があるんだろうと(あやか)❞

しんどそうに、でも一生懸命何かを探しているのか、何かをわかろうとしている感じでしたね。でも…脆さは感じなくて、強さ、しなやかさをすごく感じた(なお)❞

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❝9日(の演目)は葛藤とか苦しみとかが出やすい作風に見えて、「こりゃあ、『これじゃない』ってそりゃそうだろうなぁ」って思ってました。ほっちのロッヂに来た初日から、自分を許される感じを受け止めて、悩みや苦しみが昇華していくって聞いてたので。だから僕はその翌日、戸惑いは大きかったですけど、「私はこういうのが好きだけど、みんなはどう感じる?」っていう投げかけみたいなやり方、よかったです(のぶ)❞

❝10日のパフォーマンス?を見ていて、「訪問と似てる」って思ったんです。家にいるっていうことが正しいんじゃなくて、「訪問先の人が何を望むか」っていうとこが大切であって。みゆきさんにとっても、「ダンスする」っていうのが答えじゃなくて、その間の迷いやブレを一緒に考えたりするのが面白い。そこが(訪問活動の面白さと)リンクした(にしかわくん)❞

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「踊らない宣言」をした後、ご来場の皆さんと一本締め。
よ~おっ

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ポン。

簡易オハカンシート

普段使っているフォーマットを簡易化した「オハカンシート」。
関わる人の今の状態や今後の活動方針を確認するのに使える。

3、いよいよカルテ作成へ

7月22日から、オハカンと並行してメンバとの対話を開始。時には木陰に座って、時には散歩しながら。次回の連載では、いよいよできあがった「クリエイティブ・カルテ」を公開です。

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オハカンで話された対話の内容は、ほっちのロッヂャー第二期の記事で読むことができます ☞

▶「オハカン」って何ぞや?(7月)
@オンライントーク:さっこ、すぎー、みゆき、ゆっきー、エミリー
オハカンとは何ぞや?病院のカンファレンスとの違い?
~多職種連携、ね。
~みゆきが見た、ほっちのロッヂ
~すぎーが感じた、ほっちのロッヂ
(ほっちのロッヂャー第二期 7月のオンライントーク・話した項目より)

▶「オハカン」しているときの頭の中身ってどうなってる?(8月)
@インタビュー:にしかわくん、ゆっきー、あやか、まり、めーちゃん、すぎー、ゆう、なお、のぶ、エミリー
主なトピック:

「衝動」「躍動」「人のささやき」「色」「音の散らばり」…それぞれが感じるもの
~ダンサーが「踊らない」
~「振る舞っているのを感じる人が、周りにいる」という感覚
~感じとった、自分とみゆきさんとの共通点
(ほっちのロッヂャー第二期 8月の読み物・目次より)

本企画は、《身体の音を聴く》音と動きのワークショップに結実。今後は場所を変えての実施も検討中です。ご注目下さい ☞

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

あの人に届くと、もしかするといいかもしれない、そんなことが頭に浮かんだならば、ぜひ教えて差し上げてください。

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ほっちのロッヂ
info@hotch-l.com
書き手:唐川恵美子(エミリー)
デザイン:西川理奈(企画タイトルデザイン)、大隅康平(音舞寺タイトルイラスト)
企画協力:ほっちのロッヂのメンバ
文責:藤岡

(2021.10.8)