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【食や文化のこと、4】対象物を、ヒトから モノ へ、ズラしていこうと思います。

2019年8月10日(土)、軽井沢キッズケアラボに参加されている方たちと、
「異彩を、放て。」を掲げる福祉実験ユニット、ヘラルボニーさんと共同で、アートワークを行いました。

症状や状態、年齢じゃなくって、好きなことする仲間として、出会おう。


この言葉を体現するということは、どんな光景なんだろう?と問いを持ち始めてから、ヒトとヒトが対峙する空間から、ヒトが横並びになり、何か手をかける対象物、モノに共に取り組む、そんな光景を目指してみたいと思うようになりました。

今回、「異彩を、放て。」を掲げる福祉実験ユニット、ヘラルボニーさんリードの元「まちといろのワークショップ」を、症状や状態、年齢も多様なメンバで参加し、まちに繰り出しました。

普段閉じている五感を取り戻す


ワークは、「葉っぱ」を集めることから始まりました。
軽井沢キッズケアラボの活動場所を中心に、まちを歩き出します。
軽井沢町に溢れる様々な緑の葉を集め、葉を使って、ハンカチーフに絵を描いてみようというこのワーク。

「これはちょっとギザギザしてる」
「ハルジオン、ぎゅっと持っていってね」
「葉っぱの影って可愛い、(チェキで)撮ろう撮ろう!」


そうして持ち帰ってきた、もしくはチェキで撮ってきた葉を素材にして、
自分なりの絵を描き始めます。

笑顔じゃなくって、真顔があふれていく

誰かのためではなく、自分の表現のために時間を使っていくと、
誰かに向ける笑顔ではなく、自分のまっさらな顔、つまり真顔が増えていくのだと、このワークを側から見ていて感じました。

拾ってきた葉をかたどってみたり、
葉は使わず、ハンカチーフに絵の具を振り落としてみたり、
花びらをスタンプのように押し始めてみたり。

いつの間にか、普段はケアを受けている側とケアをしている側の立場が逆転し、

「そうやって色を作るんだ」
「そうやってスタンプを押すと絵がジャンプしているようになるんだ」
「もっともっと、私の表現も、自由でいいんだ」

と、それぞれが刺激し合うような関係性になっていき、
現場の雰囲気は、和気あいあいというよりも、皆”真顔たっぷり”の雰囲気。

これって、なかなか素敵な雰囲気だと思いませんか?


なんで普段から、こんな感覚をずっと持てないのだろう?

美しい作品が生まれていきます。
お昼の時間がせまっていましたが、せっかくならばと、参加した20人超、1人1人から、どんな作品になったのか、発表する時間を取ることにしました。

似通った葉っぱをまちから持ち寄ったはずなのに、
1つとして同じ色も、同じハンカチーフもない。

それどころか、本当に同じ空間にいたのか?と思うほど、
いい意味で周りを気にせずどんどん表現していく。
もちろん発表のときは恥ずかしそうにされていましたが、
そこには、症状や状態、年齢じゃなくって、好きなことする仲間として、出会い直した人たちがいる。

そうした光景に、胸が心から高鳴りました。

だけれど。こうした時間を過ごした方から、こんな問いが生まれました。

「今日は本当に熱中して参加していて、障害のあるなしなんて全く気にならなかった。でも、なんで普段から、こんな感覚をずっと持てないのだろう?」

さて、なぜでしょう?

誰かが答えてくれるわけでもない。自分なりに答えを見つけていく。

もしかしたら、近い未来、ほっちのロッヂが懸命に試みていく姿に、そのヒントが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれない。

だけれど、こうした問いを聞けて私は逆にとても嬉しく思いました。

問いがなければ、行動は生まれない。

対象をヒトからモノへズラした時に発見する何かを、これからも様々なワークを通じて、共に見つけたいと思います。

アートワーク「まちといろのワークショップ」
WS運営:ヘラルボニー、診療所と大きな台所があるところ ほっちのロッヂ
開催元:軽井沢キッズケアラボプロジェクト
日時:2019年8月10日
場所:長倉北公園とその周辺
参加人数:約40名ほど
撮影:泉山朗土氏