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【建築のこと、2】凹凸の建物の内外で、小さい出会いの場を個々につくって、そこで活動も染み出し、通りかかった人もちょっと寄って立ち話をするような光景が生まれるように。

私たち【ほっちのロッヂ】の活動が生まれる建物、凹凸のある設計の理由は?

聞き手にブックディレクター/編集者の山口博之氏を迎え、共同代表・紅谷浩之(医師)と藤岡聡子(福祉環境設計士)、安宅研太郎、池田聖太(建築家)が語っていきます。

「藤岡さんがいうような人の流れみたいなものが設計でも必要だと思っていて、ここは自分の場所だと思いつつも、ほかの人が居ても全然おかしいと思わないような。そういう微妙な空間の開き方だったり、閉じ方だったりを、建築で調整すると結構居心地って変わるので、それはこれから少し図面拡大しながら取り組んでいかなきゃいけないところかなって思ってます。」(安宅)

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【建築のこと、1】自分たちの場所を作っていったり、それを維持していったりする、本来の暮らしをちゃんと取り戻せる場所を作ろうと思います。

▶︎【建築のこと、2】凹凸の建物の内外で、小さい出会いの場を個々につくって、そこで活動も染み出し、通りかかった人もちょっと寄って立ち話をするような光景が生まれるように。

【建築のこと、3】”人生フルーツ”しよう、を合言葉に建物とケアが進んでいっています。
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—設計は進んでいる。でも今のところ”名前のない建物”?

池田:建築のルールの中で言うと、デイサービスとクリニックという用途で定まっているルールにのっとって設計していますが、藤岡さん紅谷さんが、実際作りたいのは、そのままの用途ではないと。
要するに、今のところ名前のない建物をつくらなければならない(笑)。そういう状況に置かされている感じで、準備にかかっていて。

安宅:今建物の形状としてはこんな形です。こういう小さな空間がたくさんありながら、なんとなくつながっているそれぞれの空間をちょっとずつ変えながら、まとまりもある。

例えばここは実は工作室ではなくて、休める場所、だったりとか。今暫定的に用途を決めているけれど、もしかしたら全然別の用途に使われるかもしれない。でもそういうことを許容できる空間を、目指しています。

—関わりしろを増やすために凹凸がある。その理由は?

安宅:普通は、ちょっと大きいメインのリビングみたいな広い空間を作ってそこに小さい部屋がくっついていくような設計になりがちなんですが、藤岡さんから、「メインの部屋を作りたくない」っていうオーダーがわりと最初にありまして。それで内部に様々な小さなコーナーができるように平面が凸凹した空間をつくっています。

あと例えば子ども達や地域の人がこの場所にが関わっていくときに、建物の内部と外部が1対1で対峙するような関係だと、舞台に上げられちゃったみたいな感じで近づきにくいような感じもするし、居心地も悪そうなので、小さい何か出会いの場を個々につくって、そこに活動も染み出ていくし、通りかかった人もちょっと寄って立ち話するし、っていう状況を小さくたくさんつくった方が良さそうだな、関わりにいきやすそうだなって思いました。それでいま、外形もでこぼこしてるんです。

藤岡さんがいう「人の流れ」みたいなものが設計でも必要だと思っていて、ここは自分の場所だと思いつつも、ほかの人が居ても全然おかしいと思わないような。そういう微妙な空間の開き方だったり、閉じ方だったりを、建築で調整すると結構居心地って変わるので、それはこれから少し図面拡大しながら取り組んでいかなきゃいけないところかなって思ってます。

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(この語りは、2018年8月31日に都内にて、ブックディレクター/編集者山口博之氏を聞き手に迎え、インタビューを行なった内容を編集しています。)