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【食や文化のこと、1】手のひらで育てて食べる行為を、もう一度、みんなの真ん中に持ってこようと思っています。

私たち【ほっちのロッヂ】では、デイサービスにあたる空間に、大きな台所を置こうと考えています。それってどういうことなんだろう?
聞き手にブックディレクター/編集者の山口博之氏を迎え、共同代表・紅谷浩之(医師)と藤岡聡子(福祉環境設計士)が語っていきます。

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▶︎【食や文化のこと、1】手のひらで育てて食べる行為を、もう一度、みんなの真ん中に持ってこようと思っています。

【食や文化のこと、2】在宅医療拠点、もとい、まちの文化の起点となれる場、つくります。

【食や文化のこと、3】ケアマネージャーがこの日にいけって言ったから今日集まったんじゃなくても、お腹すいたから来たんだ、いいにおいがするから来た。そんな出会い方をしたいですね。
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何かを手のひらで育てて、土の感触があって、それを収穫して、自分で作って、そして食べるっていう行為って、みんな多かれ少なかれ好きじゃないかなって思ってるのと、やっぱり”食べる欲”って最後まで人に残っているものだと思っていて。」(藤岡)
「ケアマネージャーがこの日にいけって言ったから今日集まったんじゃなくても、お腹すいたから来たんだ、いいにおいがするから来たんだって。出会いかたって大事じゃないですか。」(紅谷)

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—ほっちのロッヂはキッチンが建物の中心に、玄関入ってすぐにあるんですが、これはどういう考えのもとに?

藤岡:何かを手のひらで育てて、土の感触があって、それを収穫して、自分で作って、そして食べるっていう行為って、みんな多かれ少なかれ好きじゃないかなって思ってるのと、やっぱり”食べる欲”って最後まで人に残っているものだと思っていて。それから、全方位的にみんながやる行為ですよね。

賑わいを生む中心、そのとっかかりとして、食べる行為っていうのを、エンターテインメントというか、楽しめるように、少し大きめの台所があればいいなって。

あと私があのジャムが好きなんです(笑)。ジャムを煮ているあの香りとか、コトコトする音とかって、何物にも勝るんじゃないかって思うんですね。きたきた、グツグツきたぞ!って、まるで魔法のような美味しさや嬉しさが感じられるような、そういう五感六感を刺激するプロセス。いいですよね。

—畑を作るとか、そういうこととは共通する?

藤岡:他にやることが多そうなので、ちょっと様子見ですが・・。したい人が来てくれたら、その人に任せる感じを考えていますね。それに料理人を大募集しようと、思っています。調理室で、日々介護の場所に通うであろう方たちにはきちんと美味しいものを提供したいし、私も食べたいし、プラスαでジャムつくったり。みんなでそこのキッチンで。

—食を介した、それぞれの集い方のイメージとは?

紅谷:ケアマネージャーがこの日にいけって言ったから今日集まったんじゃなくても、お腹すいたから来たんだ、いいにおいがするから来たんだって。

今日は1人になりたい気分なんだけど、ひとりぼっちではなくって、みんないてざわざわしている中で1人になりたい。でもいい匂いがしたから、はっと我にかえってみんなの方へ寄ってくる、そんな光景があればいいなと。だから出会いの場として食はすごい大事なんです。

—ほっちのロッヂの構想の中には、果樹園をつくりたい、という話もあります。ここにそういう果樹園を作るというのは、小さいところから育てていく感じ?

藤岡:もちろん急ぎたい気持ちはあるんですけど、どちらかというと、育てていく感じなのかな、と思っています。集って来たひとたちが、手をかける存在、対象としての”果樹園”ですね。5年、10年。そのスパンで考えていかないとですよね。自分でつくるってそういうことだと思います。

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(この語りは、2018年8月31日に都内にて、ブックディレクター/編集者山口博之氏を聞き手に迎え、インタビューを行なった内容を編集しています。)