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【建築のこと、1】自分たちの場所を作っていったり、それを維持していったりする、本来の暮らしをちゃんと取り戻せる場所を作ろうと思います。

私たち【ほっちのロッヂ】の活動が生まれる建物。どんな考えの元に設計されてゆくのだろう?

聞き手にブックディレクター/編集者の山口博之氏を迎え、共同代表・紅谷浩之(医師)と藤岡聡子(福祉環境設計士)、安宅研太郎、池田聖太(建築家)が語っていきます。

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▶︎【建築のこと、1】自分たちの場所を作っていったり、それを維持していったりする、本来の暮らしをちゃんと取り戻せる場所を作ろうと思います。

【建築のこと、2】凹凸の建物の内外で、小さい出会いの場を個々につくって、そこで活動も染み出し、通りかかった人もちょっと寄って立ち話をするような光景が生まれるように。

【建築のこと、3】”人生フルーツ”しよう、を合言葉に建物とケアが進んでいっています。
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「そこにいる高齢者がサービスを一方的に受けるって言うよりも、自分でちゃんと手をかけられる場というか。その場所にコミットして暮らしていけるものをつくるっていうことなんだろうなと思ったんです。そこになんかしらのワークをしたい、関わって自分たちの場所を作っていったりそれを維持していったりする、本来の暮らしをちゃんと取り戻すみたいな。」

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—【ほっちのロッヂ】を設計をしている今、どんなことを考えている?

安宅:建築の話とそのもうちょっと外側の敷地の話もあるし地域の話があります。

地域を大きな視点で考えると、あの立地(軽井沢町発地エリア)って別荘地で、大きな地域社会があるような場所ではないんです。そこに、教育施設(※1)も、【ほっちのロッヂ】も新しく建つわけです。たとえば教育施設側から考えると、教育施設の周りには多くの地域住人がいるような地域ではないわけです。
教育施設にとって、【ほっちのロッヂ】は、小さいけれどそこに通う子どもたちにとっての”地域”になるなと思っていて。

【ほっちのロッヂ】にとっても、横に教育施設があってその子どもたちとの関わりをつくるっていうのが、別荘地の中で孤立した場所にならない大きな要因になるのではないかと思っています。お互いに地域を作るという意味で、教育施設にとっても、【ほっちのロッヂ】にとっても、いい他者との関わりが必要だと。なのでそういう場をつくるべきだなと思ったんですね。

それから、敷地を最初に見に行った時に、ランドスケープデザインをされている田瀬理夫さん(※2)と見に行ったんですけど、在来の、日本に昔から生えているような植生がちゃんと残っていて、それがすごく素晴らしいと。それを維持するためにきちんと人の手が入り続けている林だった。

森はどこも同じに見えるかもしれないんですけど、違うんです。

【ほっちのロッヂ】は農家の集落の裏山、いわゆる里山だったんです。里山って、人が利用しやすいような形で、ずーっと人が手を入れながら維持されてきたものなんですね。

きちんと手を入れ続けていくことで植生が維持され、同時にその場所で継承されてきた風景が維持されている。それが結構な規模で残っているという状態が、あの場所の価値だなと思うわけです。

—人の手が入り続けてきた土地。設計の発想にどう影響している?

安宅:手をかける対象があるということは、豊かだと思うんです。介護で言うとサービスを受ける側と提供する側として分けてしまうと、サービスを受ける側がコミットする対象が身の回りからどんどん奪われるわけですよね。だから活動を促すためにわざわざ別の「コト」を生み出さなきゃいけなくなる。

でもそうではなくて、要介護者も、クリニックに来た患者さんも、子どもたちも、地域の人やスタッフも、みんなが一緒に暮らす場所だという視点に立てば、人や環境にそれぞれの立場でできることってたくさんあって、その関わり合いの中に日々の喜びや楽しさや充実感があって。それが豊かさなんじゃないかと思います。例えば林の管理にしても、今まで手を入れてくれていた方にお金を払って管理を続けてもらったら「楽」ですけれど、何もうまれません。それよりもその方に継続的に来てもらいながら、みんなで下草を刈ったり木を植えたりして林の管理をした方が学びになるし、将来の敷地の環境について自分たちで考えることもできる。その方を通して地域とのつながりもできるかもしれない。

そうすると、結果的にいろんな人が入ってくるきっかけにもなるし、何より楽しそうですよね。そういう場をつくれるといいなというイメージを、持っています。

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(この語りは、2018年8月31日に都内にて、ブックディレクター/編集者山口博之氏を聞き手に迎え、インタビューを行なった内容を編集しています。)

(※1)本事業の近接地では2020年4月開設を目指している、軽井沢風越学園(幼稚園及び義務教育学校)の建設工事が始まっています。

(※2)田瀬理夫さん。1949年東京都生まれ。造園家。詳しくは、ひとの居場所をつくる ─ランドスケープ・デザイナー 田瀬理夫さんの話をつうじて 西村 佳哲 著 をお読みください。

いつもありがとうございます!
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Hotch-Lodge

長野県軽井沢町(東京から約1時間) ほっちのロッヂは、元々里山だった少し小高い丘と小さな小川が流れる林の中にたたずむ、診療所と大きな台所があるところ。2020年4月に開業を予定しているケアの文化拠点です。http://hotch-l.com

建築のこと

あえて、凸凹した建築。小さい何かの出会いや、好きなことに没頭する空間。何かを育てて維持する。ひと本来の力を取り戻す場所をつくっています。
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